御坊市制60周年記念事業、歴史文化遺産フォーラム「御坊の現在・過去・未来」の第3部祭礼編「御坊祭についての映像とトークの会」は16日に御坊市民文化会館大ホールで開かれ、日高地方最大の祭礼である御坊祭の成り立ちや歴史で知識を深めたほか、これからのあり方でも意見交換した。市が国の補助を受けて作成している御坊祭記録映像の一部も紹介され、来場者は興味深く見入った。
 まず記録映像「御坊祭の祭礼行事」を10分程度上映。お旅所への神輿渡御、潮かけ、熱気あふれる四つ太鼓の宮入りなどから翌日に各家を回る「傘やぶち」まで日ごろはなかなか見る機会のない映像もあり、来場者は興味深く見入っていた。続いて「知られざる御坊祭」と題して各組の準備の様子などを写真映像で紹介。休憩をはさんでパネルディスカッションに移った。
 コーディネーターは和大南紀熊野サテライト客員教授の鈴木裕範さんが務め、吉川壽洋さん(市文化財保護審議会委員)、長谷川嘉和さん(同志社大文学部講師)、蘇理剛志さん(県教育庁生涯学習局文化遺産課)、川瀬和男さん(小竹八幡神社総代)がパネリスト。主に戯瓢(けほん)踊り、雀踊り、奴踊り、四つ太鼓など各組が奉納する芸能の歴史について論じ、「四つ太鼓は県内では日高地方に集中しており、全国的には瀬戸内地方によくみられる形。『ホーエンヤ』という掛け声などは海辺の民の祭りによくある。廻船業など海上運送の発達していた御坊には各地の面白い祭りの情報が持ち帰られ、取り入れられたのでは」などの説が披露された。伝統の形をしっかり守っていくか、現代人にも参加しやすい形に変えていくかについても討論。「基本的な部分は変えずにしっかり守る姿勢を貫くことが、むしろ人をひきつけるのではないか」「あえて変えようとする必要はないが、子どもたちやパワーのある女性が参加しやすい仕組みを整えていくことは必要なのでは」「祭りは地域力そのものが問われる場。祭りのコミュニティを大事にすることがこれからの地域づくりには必要」などの意見が出され、充実した内容に来場者は拍手を送っていた。小竹八幡神社宮司、小竹伸和さんのインタビュー映像も紹介された。15日午後には歴史編が行われ、市文化財保護審議会委員の川崎雅史・橋本厚洋・塩路正・小出潔・大谷春雄の5氏が御坊市の歴史的遺産についてそれぞれ講演を行った。