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堀河屋又兵衛家住宅主屋        堀河屋野村店舗兼主屋
 御坊市御坊の町屋「堀河屋又兵衛家住宅」と薗のしょうゆ醸造「堀河屋野村」の2件合わせて7棟が、市内で初となる国の登録有形文化財の登録を受けた。いずれも江戸から昭和初期の建物で、風情あふれるたたずまいが特徴。すでに周辺の寺内町観光の名所としても知られており、今回の登録がまちなみ保存の第一歩となりそうだ。登録証と登録プレートの伝達は、13日午前9時から市教育委員会で行われる。

 堀河屋又兵衛家住宅は▽江戸末期建築、昭和前期改修の主屋(木造平屋一部2階建て瓦ぶき)▽昭和5年ごろ建築の土蔵(土蔵造り2階建て瓦ぶき)――。寺内町中心部に位置する町家で、主屋は前面に出格子を立て、軒先に「オダレ」と呼ぶ幕板を設けており、土蔵とともに寺内町の歴史的な景観を構成している。一方、堀河屋野村は▽江戸末期建築、明治中期改修の店舗兼主屋(木造平屋建て瓦ぶき)▽江戸末期建築、昭和28年ごろ改修の土蔵(土蔵造り2階建て瓦ぶき)▽江戸末期建築の第1仕込み蔵(木造平屋建て瓦ぶき)▽大正前期の第2仕込み蔵(同)▽江戸後期建築、昭和前期増築の作業蔵(木造一部コンクリート造り平屋建て瓦ぶき、煙突付)――。元廻船問屋で、現在はしょうゆ醸造を手掛ける。店舗兼主屋は、軒高が低く、座敷部分に出格子を立て、木部にベンガラ(塗料)を塗るなど、当地の近世町家のたたずまいを伝えている。敷地内には土蔵、仕込み蔵など、しょうゆ醸造の景観を特徴付ける建物が一連で残る。

 歴史的価値の高い文化財の保護に向けては、国の重要文化財や地方公共団体の文化財指定などの制度があるが、建物改修の規制が厳しいため、以前から御坊市の寺内町では緩やかな規制(外観は保存が必要でも内装は一定自由にリフォーム可等)の登録有形文化財制度を活用してまちなみを保存する動きがあった。今回の登録で、寺内町全体のまちなみ保存の機運盛り上げにもつながりそうだ。