県が公表した南海トラフ巨大地震等の津波避難困難地域と被害想定に関し、仁坂吉伸知事は11日、巨大地震の避難困難地域を有する御坊市以南12市町が地震津波対策検討協議会を設置することになったと発表した。
 県は先月末、過去に90~150年周期で発生している3連動地震と、発生確率は極めて低いが発生すれば甚大な被害が予想される南海トラフ巨大地震について、それぞれの避難困難地域と死者や建物倒壊等の被害想定を公表。3連動はすさみ、串本、那智勝浦、太地の4町22地区(4018人)が津波避難困難地域になるとし、▽避難経路の詳細な設定と周知▽避難ビルの指定▽堤防護岸の整備――などの対策メニューを示し、これらを優先的に進めることで今後、おおむね10年で避難困難地域を解消するとしている。一方の巨大地震は御坊、美浜、印南、みなべ、田辺、白浜、すさみ、那智勝浦、太地、古座川、串本、新宮の12市町の一部を避難困難地域に設定したが、具体的対策は決まっていない。
 県総合防災課によると、すでに公表している3連動地震の対策は県と市町が連携して詳細な年次計画を策定するとし、巨大地震については12市町が個々に協議会を設置して具体化案を検討。県は危機管理局と県土整備部がそれぞれのまちにアドバイザーとしてかかわり、取り組みを支援するという。
 仁坂知事は11日の定例会見で、「巨大地震の避難困難地域は高台移転などの地域改造も含め、住民参加のもと、県と市町が力を合わせて対策を検討したい」と話した。
 知事選の告示を2日後に控え、立候補を予定している仁坂知事はこの日が2期目最後の定例会見。記者からこの4年間の総括を求められ、「いろんなデータや個々の政策をみれば、成果が出ているものはたくさんある。しかし、防災の巨大地震・津波対策はこれからだし、インフラ整備や産業振興、教育、少子化・高齢化対策もまだまだ不十分。エラそうに(成果を)いうよりも、これからもっと頑張らないと、という気持ちが大事なのでは」と答えた。