県内の紀州備長炭の生産量が、製炭者の高齢化などによって年々減少している。平成元年には2531㌧だったが、昨年は半分以下の1135㌧。和歌山県は白炭の生産量が全国トップだが、2位の高知県が生産を伸ばしており、5㌧差と僅差に迫っている。10年前までは全国市町村トップの生産量を誇っていたみなべ町も、年々減少傾向となっている。
 県内の備長炭生産量は、平成元年には2531㌧、生産者は503人だった。生産量は以後減少が続き、20年には1692㌧、昨年はさらに減少し、1135㌧に落ち込んだ。生産者数の変動は平成15年以降は少なく、170~180人台で安定している。
 かつては日本一の炭の産地だったみなべ町も同様。近隣市町村が合併した影響で、現在は県内で日高川町、田辺市に次いで3位となっている。生産量の推移をみると、平成17年度は262㌧だったが、24年度は164㌧と4割(約100㌧)の減少。全国的に白炭の生産量を伸ばしているのが、大規模な窯で企業的に行っている高知県。同県の25年の生産量は1130㌧で、和歌山県の1135㌧に肉薄。県内の関係者からは「抜かれるのは時間の問題」という声も聞かれている。県林業振興課によると、「県内の生産者数は近年はほとんど変わらないが、いままで働き盛りだった製炭者の高齢化が大きな要因。備長炭の原木となるウバメガシが、搬出しやすい場所に少なくなったということもある」と話している。