町政懇談会は各地区とも災害対策に関する意見や質問が多いが、この日の松原地区は「浜ノ瀬など一部地域が南海トラフ巨大地震の避難困難地域に指定されたこともあり、約1時間の懇談はほぼ地震津波対策の話に費やされた。
 先月末、県が公表した被害想定によると、被害が最も大きい冬場の夕方に南海トラフ巨大地震が発生した場合、美浜町は浜ノ瀬、田井、吉原の計20.8㌶、対象人口932人が避難困難地域になると設定。町全体の死者数は3700人、うち97%の3600人は津波による犠牲と想定され、建物の全壊率は県内最多の77%となっている。
 この発表を受け、住民からはまず「避難困難地域の田井、吉原はどの部分が対象になるのか。吉原といっても新浜だけなのか、全体なのか、もっと細かく教えてほしい」という声があり、防災企画課長は「町内の避難困難地域は浜ノ瀬の全域、新浜の切戸(きれと)、切戸に面する付近の新浜区域、田井畑の全域になり、その他の吉原や上田井地域は入らない」と説明。ほかに、「松原小学校の屋上に夜間の照明を設置してほしい」「田井畑の人たちは、西川を越えて松原郵便局裏の高台施設(築山)まで避難するのはしんどい。町に寄付いただいた土地を活用するなど、早く整備してあげて」などという要望もあった。
 建物の倒壊率に関して住民から原因は何かという質問があり、町は「県の想定では、美浜町は巨大地震の際に、浜ノ瀬、新浜、吉原、和田の一部、上田井などで液状化の可能性があるとなっているが、2つの小学校の外付け階段などのボーリング調査では、液状化は起こらないという結果が出ている。また一方で、町内には昭和56年に改正された耐震基準を満たさない古い木造建物も多い。いずれにしろ、現時点で県からは数字の根拠を示す詳細な分析資料が届いておらず、それが届きしだい、内容を見て県に問いただしたい」などと答えた。
 懇談会は10日が最終、午後7時から地域福祉センターで開かれる。地域を問わずだれでも参加できる。