秋の叙勲受章者(3日付)が発表され、県関係は女性3人を含む42人、日高地方は教育研究功労で和歌山高専名誉教授宮原一典氏(78)=御坊市藤田町吉田=が瑞宝小綬章、労働行政事務功労で元和歌山労働基準監督署長若﨑博氏(85)=御坊市湯川町財部=が瑞宝双光章を受章する。宮原氏は10日に文部科学省で伝達のあと拝謁、若﨑氏は5日に県庁で伝達、13日に拝謁が行われる。
 宮原氏は、熊本県人吉市出身で、近畿大学工学部を卒業後、神戸大学に技官として勤め、昭和39年、国立高等専門学校1期校として設立された明石高専に勤務。42年から和歌山高専勤務となった。
 大学時代は高度経済成長の始まる頃で「日本の発展をけん引するのは電気産業」と思い、電気工学を専門に選んだ。和高専では電気工学科教授として長年勤め、学生を指導するかたわら自身の研究も継続。ほぼ週1回の割で神戸大学に通い、内地留学として1年間研究に没頭した時期も。平成7年、「微弱放電光の定量化処理に関する研究」と題する論文で工学博士の学位を取得した。12年に定年退官、名誉教授となる。この間、国内では電気学会、静電気学会などで発表を行い、ドイツのドレスデン大学等海外の3大学で開かれたISH国際学会でも発表。教科書としても使われているコロナ社の新編電気工学講座シリーズ「自動制御」を共同執筆した。
 「工業高等専門学校の創設当時から36年間奉職。最初は未知の学校制度として試すような目でみられましたが、幸い大変優秀な学生が集まってくれました」と振り返り、叙勲受章には「卒業生は社会で大いに活躍しており、誇らしく思います。受章は少しでも彼らの役に立てたことへのご褒美と思います。ご指導の先生方、論文作成事務を手伝ったり内地留学中は留守を守ってくれた妻、支えて下さった方々のおかげです」と妻浩子さんの内助の功にも感謝している。