通勤の途中、よく見かける光景がある。小学校や中学校の通学路、とりわけ信号交差点など危ない個所に学校の先生やボランティアの住民が立って登校を見守る姿だ。筆者が記者になった17年前にはそれほど見られなかったが、ここ数年は多くの学校が取り組んでいるのだろう。町の委嘱を受けているセーフティーガードの方々も含め、防犯、交通両面で子どもを見守る地域の目は年々増えており、保護者にとっては本当に心強い限り。地域ぐるみの活動が子どもの安全を守っているのは間違いない。重大交通事故が年々減少しているのもよく分かる。
 全日本交通安全協会の統計によると、昨年1年間の全国の交通事故死者は4373人で、平成13年以降毎年過去最少(正式な統計を取り始めた昭和46年以降)を更新している。車の性能がよくなった、救急医療体制が充実しているなど要因はいろいろあるだろうが、根本的にはドライバーの安全意識の向上があるだろう。記者になったころ、正面衝突やガードレールを突き破って海岸に転落といった重大な交通事故現場にたびたび駆けつけたが、ここ数年は現場に出動する機会の方が珍しくなった。対向する車は皆シートベルトを着用し、無謀な運転をするドライバーはめっきり少なくなったのが感覚的に分かる。
 とはいえ、数字で見れば全国で一日に12人が事故死している。いまだかつて死亡事故がゼロだった日はない。発生件数も物損事故を含めればそれほど減っていないのが現状だ。ほんの少しの注意で防げた事故がほとんど、というのも事故現場でみてきたことの教訓。きょう21日からは秋の交通安全運動が始まる。あなたの運転は安全ですか。   (片)