先日、人力飛行機で競う「鳥人間コンテスト」に、お笑いコンビドランクドラゴンの鈴木拓さんが挑戦するテレビ番組を観た。企業が製作した機体とともに、夢と希望を託された鈴木さんは、14㌔の減量や飛行訓練など、必死に頑張る姿が紹介された。本番では見事なフライト。関係者は涙して喜び、筆者も感動で目頭が熱くなった。普段パッとしない芸人だが、「やればできる」という希望を与えてくれた。
 半面、最後の方で鈴木さんが言った「頑張りましたよ」という言葉が気になった。少し厳しい見方をさせてもらうと、その言葉には鈴木さん自身の甘えが見え隠れする。何か自分の努力を他人に認めてほしいという気持ちである。頑張ったかどうかは他人が評価してくれることであり、自分で言うと値打ちが下がる。特に、今回は大記録を達成したといっても、実は目標としていた記録にはあと数㍍届かなかった。仮にそんな場面で「あともう少しだったのに...大変悔しいです」なんて言っていたら、鈴木さんの男前度はさらに上がっていただろう。
 言葉の選択を言っているのではない。努力の結果や現状では常に満足しない強い精神力のことである。それは勉強や仕事でも同じ。苦しい時、辛い時、そして満足の結果が出た時でもあと一歩踏み出す努力や根性があれば、さらにステップアップできる。いま風に言えば「限界突破」とでも表現するのだろうか。
 「変化、進化を続ける」とは、大洋化学㈱創立60周年祝賀会での上西一永代表取締役の言葉。マージャン牌や全自動卓の製造、販売ですでに業界トップの座を手に入れているが、LEDや植物工場などさらに新事業を展開。これぞ現状に満足しない、限界突破への強い精神力があればこそだと思った。  (吉)