田辺市は平成28年度に龍神村の中辺路大塔消防署龍神出張所(柳瀬)を龍神行政局(西)に移転する方針を固め、開会中の市議会に設計委託料として220万円を補正予算案に盛り込んだ。平成23年の紀伊半島水害では両施設が離れているため行政と消防の機能が連携しづらかったという。市の担当者は「施設の統合で災害対応を充実させたい」と話している。
 両施設の位置関係は消防署出張所から北東へ約2㌔の地点に行政局がある。いずれも同市が管轄する施設。紀伊半島水害時に両施設が連携を図って対応したが、距離的な面から十分に迅速な対応ができなかったケースがあった。さらに過去6年間の救急車の出動のデータで分析すると、立地条件の違いから現場までの到着時間が行政局内に施設を置く方が平均で1分30秒程度短縮されるという。
 計画では消防所の事務所は行政局1階に移転し、事務所のほか、トレーニング室などを設ける。現状よりも約10平方㍍程度広い370平方㍍とする。本年度で設計委託を行い、来年度に緊急自動車を収容する車庫の建設や事務所の改築などにとりかかる。市の消防担当者は「紀伊半島水害の教訓を生かし、行政と消防の連携を深め、災害対応力をアップさせたい」と話している。