連日の猛暑で寝苦しい夜が続いているが、眠たいときや退屈なときになぜあくびが出るのだろうか。それは口を大きく開けて空気を深く吸い込み、新しい酸素をたくさん補給した血液を脳に送りこむため。つまり脳を活性化させるためらしい。
 先日、ラジオを聴いていると、子どもの疑問に対して専門家が答えるコーナーがあり、「なぜ難しい問題を解こうとするとあくびが出るの」と質問。専門家は「あくびをすることで頭を冷やして集中力を高める効果がある。あくびが出るということは、あなたが頑張って問題を解こうとしている証」と回答。なるほど、少しあくびに対する考え方が変わった。
 というのは、例えば学校の授業中にあくびをしたなら、「たるんでる」とか「集中力が足りない」と先生に叱られたもの。また、大人になってから人と話しているときや重要な会議のときにあくびをすることは失礼というか非常識というか、要するにあくびは歓迎されることではない。しかし、集中しよう、頑張ろうとしているときにも自然と出てしまうということ。ちなみにあくびが伝染するのは、相手の行動を無意識に真似し、気持ちを理解しようとする習性があるため。だから自己中心的な人はうつりにくい。そんな話を聞いていると、あくびはそれほど悪いことでもないのだろうかと思う。
 だからと言って人前で大きな口を開けるようなあくびを推奨するわけではないし、子どもがあくびしたときに変に理屈で言い訳されても困る。何よりも日本は礼儀を重んじる国である。ただ、きちんと理解しておけば、他人のあくびに対して少々広い心で見守れる気がしてきた。        (吉)