昨年8月に印南町で発生した連続不審火で全焼した印南町樮川の畑峯六地蔵尊再建工事の落慶法要が、24日に行われた。火災で損傷した5体の地蔵も復活。参拝者らは「元通りになってよかった」と嬉しそうに手を合わせ、最後はもちまきで完成を祝った。
 落慶法要は再建したお堂の中で行われ、浄土寺(樮川)の水信章住職がお経を読む中、作り直した5体と損傷を免れた1体の合計6体の地蔵にかかった布が外され、参拝者らにお披露目された。畑峯六地蔵は通称こんにゃく地蔵と呼ばれ、こんにゃくをご本尊に供えたあと食べると祈願成就、厄除開運などの御利益があると言われており、さっそくこんにゃくを供えて手を合わす参拝者の姿が見られた。法要のあとはもちまきがあり、完成した本堂の前では楽しそうな声が響いていた。
 毎年会式に参拝しているという地元の西山貴美子さん(74)は「みんなで大切にしているお地蔵さんなので、火事の時はショックでした。心配していましたが、元通りになってよかったです」、建設委員会の西原守委員長も「やっと再建できました。1年たたずにできたのは多くの皆さんの協力のおかげです」と話している。
 畑峯六地蔵尊は江戸時代初期から祭られている。現在は樮川下組の15軒で管理しており、会式ではもちまきなどでにぎわい町外からも多くの人が訪れている。
 不審火は昨年、8月15日深夜から16日早朝にかけて町内で5件発生し、同地蔵尊の本堂と地蔵6体のうち5体が被害を受けた。地蔵尊の関係者らは約400年続く地域の信仰を守ろうと本堂建設委員会を設立。ことし1月には本堂がない中も予定通り会式を行い、2月から本堂工事に取り掛かり、このほど本堂と5体の地蔵が完成。5体の地蔵の中には破損した地蔵の破片を入れている。本堂周辺の階段部分などの工事はまだ残っており、今後続けていくが、建設委員会ではバリアフリー化などを検討している。