平成23年の台風12号に伴う大規模土砂災害を受けて土砂災害にかかる建設技術の研究と開発を進めようと、国、県、大学などがスクラムを組む「大規模土砂災害対策研究機構」の設立シンポジウムが21日に那智勝浦町で行われ、県内の関係者約2000人が参加した。同機構設立に尽力した二階俊博代議士は「あの被害を二度と繰り返さないように、災害に立ち向かおう」と意気込みを示した。
 同機構は、ことし4月、那智勝浦町に設立された国土交通省近畿地方整備局の「大規模土砂災害対策技術センター」をはじめ、県、同町、〓独土木研究所、国土技術政策総合研究所、和歌山、京都、三重、北海道の4大学で組織。台風12号で甚大な土砂災害を受けた同町をモデルケースに対策を研究。本県はじめ国の新たな土砂災害対策として期待されているほか、アジアへの技術発信で国際交流も視野に入れている。
 シンポジウムでは、主催者側で近畿地方整備局の森昌文局長が「二階先生らの力添えをいただき、機構が設立できた。産官学が連携して地域の安全につなげたい」、下宏副知事が「紀伊半島大水害の経験を生かして研究を進め次世代につなげていこう」などとあいさつ。来賓の二階代議士は「今回の機構設立で、あの大災害から立ち上がる意気込みが示せたと思う。思い返せば那智勝浦を訪れた時、涙なくして語ることのできない被害で、100万の言葉を並べても慰めにはならないほど。そんな被害に二度と遭わないよう、いかに砂防をやるかが私たちの責任。関係者のご協力に心から感謝したい」とし、「アジア16カ国と防災協定を締結して互いに何かあった時に応援できる態勢も整えたい」と述べた。鶴保庸介参議や門博文代議士も「思いを一つにしよう」などとし、政治評論家の森田実氏は「災害に立ち向かう日本に」と呼びかけた。このあと、同機構の看板除幕式などがあり、関係大学の専門家らが「大規模土砂災害への新たな取り組み」でパネルディスカッションなども行った。