7月の台風としては最強クラスといわれた台風8号は、幸い日高地方をはじめ和歌山県内には大きな被害をもたらさなかったが、他県では大雨や土石流によって犠牲者が出た。台風情報は発生や進路予想の段階からテレビなどで繰り返しアナウンスされ、備えを促しているが、それでも甚大な被害が出る。原因は「観測史上初」「記録的な」という想定の範囲を超えた雨などの影響だろう。「最大限の警戒を」といわれても、警報が出たからといって学校のように仕事が休みになることもなく、身を守るのも簡単ではなくなってきた。
 備えるに越したことがないのは当たり前だが、突発的な情報にどう対応すべきか迷うこともたくさんある。その一つが竜巻注意情報。「この情報は午後○時から1時間有効です」などとテレビで知らせてくれるが、外出しているとそんな情報はどこからも入ってこない。頑丈な建物に避難といっても、自宅以外に気軽に入っていける施設といわれればコンビニくらいしか思い当たらない。注意情報が出たからといって体育館を開放しているという話も聞いたことがない。せいぜい子どもたちに外で遊ばないよう指導するくらいだろうか。それだけでも価値はあるのだが。
 地震・津波に対する避難行動は各家庭単位でのルール作りができつつあるが、それ以外の災害への備えはあまり進んでいない。「竜巻注意情報が出たら」「土砂災害警報が発令されたら」、どこへどんな経路で避難するか話し合っている人がどれだけいるだろうか。警報発令時だけでなく、行政は注意情報も積極的に情報発信して注意を促すべきだろう。住民ももう少しだけ情報を重く受け止める意識が必要だ。  (片)