サッカーファンになったのは12年前、日韓ワールドカップの時。日本代表だけでなくフランスのジダン、トルコのイルハンら各国のスター選手もチェックしては観戦した
 
今回、当時ほどには海外チームに関心を持っていなかったが、準決勝は2試合とも観た。ドイツ相手に歴史的大敗を記録してしまったブラジル、オランダと接戦の末PK戦を制したアルゼンチン。試合展開を語れるような見識はまったく持ち合わせていないが、2試合の対照的な雰囲気は印象に残った
 12年前には、ブラジルとドイツは決勝で対戦。ブラジルが優勝杯を手にした。ゴールにもたれ茫然としていたドイツのキーパー、カーンの姿は今でも覚えている。アルゼンチンは、当時本国が経済破綻している状況の中で頑張っていた。チームの応援歌が日本の曲「島唄」のカバーであることも大きく取り上げられた
 アルゼンチンの決勝進出から当時を思い出し、その後の国の歩みを調べると、2003年以降の経済は平均約8%という高成長を続け、100億ドル近い債務を完済。現在GDPは世界26位、南米2位という。経済的に立ち直った国のイメージが、PK戦でオランダのシュートを弾き飛ばし、拳で胸を叩いてほえたキーパーのロメロ選手の姿と重なった
 開催前から反対デモで不安定な経済情勢を国外に示したブラジル。サッカー大国のイメージは大きな傷を負ったが、まだオランダと3位決定戦を戦わねばならない。決勝はドイツとアルゼンチン。この2国は前々回・前回とも準々決勝で顔を合わせ、いずれもドイツが勝った
 3位決定戦は日本時間13日午前5時、決勝は14日午前4時。日本代表の結果は残念だったが、世界の「今」が垣間見える場として最後まで注目しようと思う。  (里)