日高町が3カ年計画で進めてきた産湯海水浴場の整備が完成し、12日の海開きから供用を開始する。県と国の補助を受け、駐車場舗装、養浜工事、観光案内板設置、地域交流拠点施設建築などを実施。町内最大の観光地ながら近年大幅に利用客が落ち込んでいる海水浴場の再生を図った。12日はリニューアルを記念してガラガラ抽選会も企画しており、海水浴シーズンのスタートを盛り上げる。
 町などによると、産湯海水浴場はかつて16万人の海水浴客でにぎわっていたが、最近はその4分の1以下まで利用が落ち込み、地域経済にも大きな影響を及ぼしている。県内の白良浜(白浜町)や扇ヶ浜(田辺市)に比べて整備が遅れたことが原因の一つと考えられ、再び以前のにぎわいを取り戻そうと2つの事業を活用して各種整備に取り組んだ。
 県の補助を受けて行われたのは産湯海水浴場周辺地区整備事業。本年度まで3カ年計画で、初年度は駐車場東側の水路改修、2年目は養浜工事など、最終の本年度は駐車場舗装と観光案内板設置などを実施した。養浜工事では海岸線に目立つようになってきた砂利をならしたうえで海水浴場北の産湯漁港に堆積している砂をメーンゲート前の砂浜付近に運び込み、約4500平方㍍ある駐車場は舗装し、区画整備(乗用車200台分以上)も行った。観光案内板は2基。駐車場入り口に「産湯海水浴場」(2・8×0・6㍍)、メーンゲート付近に「海岸エリアマップ」(1・8×1・8㍍)の案内板がお目見えし、「海岸エリアマップ」には観光情報だけでなく津波ハザードマップも示されている。
 国の補助で実施したのは過疎集落等自立再生緊急対策事業。昨年度、駐車場南側に海の家機能を含む地域交流拠点施設を建築した。鉄骨平屋建て、延べ床面積約130平方㍍の施設で、男女各4室のシャワー、ホール、厨房などを備える。これまでの夏場は産湯自治会所有の海の家を借りて売店や食堂を運営してきたが、今夏からは新施設に移行する。
 2つの事業の総事業費は約8000万円。産湯海水浴場周辺地区整備事業の設計業者は㈱日高測地(御坊市、柳原実代表)、施工業者は㈱西組(産湯、西雅子代表)、㈱中井組(湯浅町、中井賢次代表)、㈱酒直御坊支店(御坊市、小谷信也支店長)、大江テント工業(同、新田豊代表)。過疎集落等自立再生緊急対策事業の設計業者は響建築設計事務所(比井、﨑山貴弘代表)、施工業者は㈱梶工務店(由良町、梶正典代表)。
 海開きの12日は午前9時半から町観光協会(金﨑昭仁会長)主催の神事などがあり、メーンゲート前でテープカットも行われる。ガラガラ抽選会は駐車場利用者対象で、駐車1台につき1回。先着100台、外れなしで町の特産物などが当たる。
 今夏からは日曜日以外、町民(運転手対象、免許証で確認)のメーン駐車場利用が無料となるサービスもあり、多くの海水浴客でにぎわいそうだ。