昨年8月に印南町で発生した連続不審火で全焼した印南町樮川の畑峯六地蔵尊(コンニャク地蔵)の再建工事がほぼ完成し、新しくなった本堂が姿を現した。地域の信仰が約400年続く地蔵尊で、24日には現地で落慶法要を行いもちまきなどで完成を祝う。また周辺整備工事は引き続き行い、全体完成は秋ごろになる。
 畑峯六地蔵尊は江戸時代初期から祭られており、コンニャクをご本尊に供えたあと食べると祈願成就、厄除開運の御利益があると言われており、地域では別名コンニャク地蔵として親しまれている。現在は樮川下組の15軒で管理しており、毎年12月20日と旧暦の12月20日(ことしは1月20日)の2回ある会式にはもちまきなどでにぎわい、町外からも多くの人が訪れている。
 不審火は昨年8月15日深夜から16日早朝にかけて、町内で5件発生し、同地蔵尊の本堂と地蔵6体のうち5体が被害を受けた。地蔵尊の関係者らは約400年続く地域の信仰を守ろうと本堂建設委員会を設立。ことし1月には本堂がない中でも予定通り会式を行い、2月から本堂工事に取り掛かった。
 完成した本堂は、以前の本堂と同じ木造平屋で屋根は瓦ぶき。中は畳と土間になっている。5体の地蔵の修復作業もほぼ完成しており、それぞれの地蔵の中には被害を受けた5体の地蔵の破片を入れる。本堂周辺の階段部分などの整備はまだ残っており、今後工事を進めるが、建設委員会ではバリアフリー化などを検討している。
 24日の落慶法要は午前10時から行い、法要後もちまきがある。また同日午後3時からは夏の会式を行い、再びもちまきを行う。建設委員会の西原守委員長は「皆さんの寄付や保険で再建することができました。会式ではまた多くの人でにぎわってもらいたい」と話している。
 費用は約1千数百万円。施工は本堂が古井の玉置健次さん、地蔵が御坊市野口の大杉石材店。