イワシの価格が近年低下しており、みなべ町の漁師らは「価格は10年前と比べると半値になった」と嘆いている。イワシは目刺しなどに加工されるが、若者世代が干物をあまり食べなくなり、消費が低迷していることが要因だという。町内では伝統的な漁法のイワシの漁り火漁がピークを迎えているが、以前ほどの活気はみられなくなっている。
 みなべ町内では、イワシ漁として海面を光で照らして網ですくい上げる伝統的な漁り火漁が行われており、これから7月末ごろまでが最盛期となる。
 県水産振興課によると、平成15年の県内ウルメイワシの水揚げ量は1325㌧、生産額は2億8600万円だった。以後、イワシの単価が下がり、平成18年には1474㌧で生産額1億5300万円。水揚げが増加したにも関わらず、生産額は1億円以上の減少となっている。その後も低調のまま推移し、24年は15年とほぼ同程度の1307㌧の水揚げとなったが、生産額は3分の1程度の1億円に減少した。イワシは主に目刺しに加工されるが、干物の消費需要が以前よりも少なくなっていることなどが要因となっているとみられる。
 みなべ町の堺漁港で水揚げされるイワシも例外ではなく、漁師らによると「20年ほど前は、イワシ漁が始まる4月ごろに25~30㌔入りのコンテナで3万円程度したこともあった。10年前と比べても半値程度。燃料代は逆に高くなり、もうけは薄まるばかり。ことしについては例年よりも量が少ないが、価格は上がらない」と嘆いている。現在、同漁港で行われる加工業者の入札価格は日によっても異なるが、コンテナ(25~30㌔入り)1杯で6500円から7000円程度で取り引きされているという。