平成23年9月の台風12号豪雨など、過去に多くの被害が出ている日高川水系の河川整備計画策定に向け、治水対策や整備内容について話し合う「日高川を考える会」が27日、発足した。中上流域、下流域に分けて、流域の自治体や団体の代表者、地元住民らで組織。よりよい整備計画の策定へ、同日開かれた初会合では委員から「日高川の魚の育成を配慮した計画を願いたい」「西川の早期改修を」などの意見が聞かれた。
 県では、平成13年に日高川水系の河川整備基本方針を策定しており、今後2、3年のうちに河川整備計画の策定を目指している。長期的な指針を示した基本方針に対し、整備計画は20~30年の中期的な河川整備の目標や河川工事、河川の維持内容など盛り込んだもので、住民の意見を反映させるために日高川を考える会を設置した。
 中上流域は日高川町と田辺市龍神村の12人、下流域は御坊市、美浜町、日高町の19人で組織。この日の初会合では中上流域、下流域の両会とも県から日高川水系の概要や社会環境、治水・利水における現状と課題などの説明を受けた。
 中上流域の委員からは「日高川の土砂を取ってくれるのは構わないが、大きな石を取られては魚が育たない。魚の育成に配慮した整備を」「堂閉川(日高川町鐘巻の道成寺周辺)の改良工事がなかなか進まない。何とかいい方法を考えてほしい」「23年の台風12号で野々川(日高川町熊野川)には土砂が溜まったまま。現状を見に来てほしい」などの要望、意見があり、下流域の委員からは西川の水門設置や改修、日高川若野堰から下流の土砂撤去などが要望された。
 中上流域委員の浅間俊幸さん(63)=日高川町熊野川=は、「住民の命と財産を守るということから日高川の本流、支流をはじめ、治水、利水を担う椿山ダムも含めて考えていかなければならない。住民の意見を反映した整備計画が策定され、安心安全でよりよい日高川水系になれば」と話していた。
 次回は7~9月の間に開き、河川工事の目的や施工場所などについて説明を聞き、意見交換する。この後、素案が作られ、学識経験者らの意見を参考に原案を作成、計画策定という流れになる。