ことしも市民教養講座が開講、第1回は東進ハイスクール・東進衛星予備校講師の林修氏。テレビでおなじみの軽快な口調でコミュニケーションについて語った。
 「相手を観察するところからスムーズなコミュニケーションは始まる」ことが例を挙げ語られた。この講演でもまず客席を観察、年齢層の高さから「ビジネスにおけるコミュニケーション論」の予定を急きょ変更。家族間の関係など身近で分かりやすい話となっていた。 
 しかし高齢者だからビジネスの話についていけないとは限らない。今や60代は現役、70代、80代でもさまざまな分野で活躍する人は多い。これらの年代に多い市民教養講座ファンは「その道のプロ」の話を楽しみにしている。ビジネスシーンを想定しても、経験に則した深い内容なら皆十分興味を持って聴けたはずだ。実際、終演後に「高齢者だからと話を変えず予定の話をしてほしかった」と話す声も耳にした。
 それはそれとして、「タダだからとツイッターなどで貴重な時間を浪費する若者が多い。お金を払ってでもやりたいことだけをやってほしい」「今の若者はあまりにもせせこましく生きている。皆さんがカッコいいお金の使い方を教えてやって」「孫には『丁寧に生きる』ことを教えて。一人でも多く素敵な子が育つのはこの国の財産」など心に残る言葉も多いバラエティに富んだ講演。特に「一日1足の靴も磨けない人がちゃんとできるわけがない」は、靴のことなどろくに考えたこともないような筆者にはドキッとする一言であった。
 市民教養講座は出会いと発見の90分。限りある紙面で内容を表現するのにいつも頭を悩ませる。精進して肝となる部分を見抜き、できる限り分かりやすく伝えていきたい。  (里)