消費税率アップを前に、駆け込みで車を買い替えた人が多い。人気の車は昨年のうちに注文しながら、生産が追いつかず、納車が4月までに間に合わなかったという人もいるが、身近にも買い替えた人はけっこういる。
 最近、新車を買った友人6人のうち、4人がガソリン車からハイブリッドに乗り換えた。最大の理由はやはり燃費のよさだろうが、さまざまな動力源、燃料の車が開発されているなか、値段やグレードとあわせてどれにしようか迷ったはず。
 これからの車社会、主流になるともいわれているのが水素と酸素を反応させて電気を起こすFCV(燃料電池車)。国内の大手メーカーは来年から市販車を本格生産するという。CO2も排ガスも出さず、1回の水素補給時間がわずか3分、走行距離も満タンで700㌔以上といい、この点では、先行しながら伸び悩む電気自動車を一気に追い抜きそうな話に聞こえるが。
 FCVが現在のハイブリッドのように、一般庶民も買いやすい値段となるまでには、まだ10年はかかるだろうという専門家の見方もある。その間に性能の向上、生産コストの削減が進むという訳だが、景気の回復、所得の向上もあっての話であることはいうまでもない。
 友人との酒の席、「ことしは近年まれに見る数字のボーナスが出そう」「ベースアップに臨時ボーナスもあった」などと、景気のいい話が飛び交う。しかし、平均燃費7.7㌔のガソリン車に乗り続けるT君だけは蚊帳の外で、黙って聞こえないふりをしている姿が痛々しかった。
 子どもも高校を卒業し、免許を取る年齢となったが、車を買い替える以前に、燃料がだだ漏れ状態のいまの会社を乗り換えようか、悩んでいるにちがいない。    (静)