「新興住宅は増えているが、空き家も多くなってきている。耕作放棄地も増えてきている」「一人暮らしの高齢者、有害鳥獣で困っている農家が多いということを感じた」。先の日高町長選に立候補した2氏へのインタビューで「町長選に立候補して感じたこと」と質問すると、こんな回答が返ってきた。2氏は町内をくまなく歩いた。前哨戦を含めて約1カ月という短い期間だったが、町の現状をあらためて把握することができたと思う。
 2氏には到底及ばないものの、取材で町内を走り回った。一番気になったのはやはり海岸線の過疎化だった。町内には新築の家が多いが、海岸線ではあまり目立たない。大地震の津波被害が心配され、志賀や内原地域へ移転する人もいるからだろう。集落の中を歩いてもなかなか人に出会えない。昼食をとろうとしても飲食店が見つけられず、一度御坊市まで戻った。自営業の女性からは「買い物する店がない。高齢者を守る施策として移動販売のようなお店がほしい」と切実な声が聞かれ、無職の男性からは「若い人たちの働く場の確保が課題」などの意見があった。防災対策と同じくらい過疎対策も重要。いま手を打たなければ取り返しがつかないと痛感した。
 いくら聞いても自分で見なければ現状は把握できない。いくら見ても対策を考えなければ前には進まない。いくら考えても行動に移さなければ前に進まない。いくら行動しても結果を残さなければ成長しない。町勢発展には「見る」から先の「考える」「実行」「結果」が求められる。記者の役割は頑張って「考える」までか。これからは新町長が見てきたことを「実行」に移し「結果」を出せるか、厳しい目でチェックしていきたい。 (賀)