「ライフライン」は直訳で「命綱」の意味だが、災害時などでのライフラインは何を指すのか分かるだろうか。本県でも巨大地震の発生が予想される中、ライフラインを理解した上で、対策を立てておくことが大切なのは言うまでもない。
 先日、和歌山大学防災研究教育センター客員教授の今西武さんが御坊市で「女性の目線で考える避難所運営」をテーマに講演。巨大地震が発生した際の6つのライフラインを紹介した。まずは「水道」「電気」「ガス」。特に水は1人当たり1日で3㍑が必要とされ、災害に備え7日間の備蓄を推奨。次いでライフラインは、救援や物資輸送のための「道路」、被害や救援の状況などを知るための「情報」で、そして最後の一つは「トイレ」だとしている。
 なぜトイレがライフラインなのか。例えば女性はきちんとしたトイレがなければ、我慢するために水分補給を控え、脱水症状で深刻なケースになることも。男性目線ではこの重要性は気付きにくい。また、1カ所に穴を掘ってみんなが使うトイレの場合、衛生面の問題があり、いま全国的に問題のノロウイルスや他の疫病などもまん延しかねない。そう考えると確かにトイレもライフライン。
 そこで今西さんが紹介したのは、新聞紙とレジ袋、ペットシートを使った「マイトイレ」。作り方は簡単で、ぜひ覚えておくべきだ。ただ、ペットシートは尿や便を染み込ませるためだが、普段から持っている家庭は限られている。だから水と同様にあらかじめ備蓄が必要。ちなみに激安品なら1枚4円や5円で購入可能。災害時に生き延びるために、自分ができるライフラインの確保は自分でしておくべきだが、行政としても安くて重要な災害対策として全戸配布ぐらいしてもいいかもしれない。    (吉)