先日、居酒屋で「山芋短冊」を食べた。とても好きな酒の肴で、結構注文するメニュー。ノリと生卵が添えられ、ワサビ、しょうゆで食べるイモは最高の味わい。独特のトロトロッとした粘り気のある食感は何とも言えない。小さい頃から山芋や長芋はお気に入りの食材で、とろろのマグロ丼は小学生の頃の大好物のメニューだった。
 日高川町中津地区では「山の芋」が特産品。毎年、取材で訪れた町内行事のお土産でいただくが、ことしもとろろとチヂミ風にして思う存分に堪能した。そんな山の芋は十数年前から特産化への取り組みが始められ、江戸時代中期から栽培していたとされる有名な特産地、兵庫の丹波篠山地方から種芋を買って栽培に成功した。現在は数軒の農家が栽培に携わっている。大きくてでこぼこした形で、従来の山芋や長芋などと比べて、粘りが強いのが特徴。タンパク質と消化酵素が多く含まれていることから、栄養食材としても知られ、消化促進、疲労回復、若返りなどに効果があるという。健康面でも注目されている。
 船津の道の駅SanPin中津では、毎年11月ごろから店頭に並び、地元住民や観光客らに人気となっている。筆者が味わったとろろやチヂミ風のほか、鍋料理にポテトフライ、チップス、お好み焼き、磯辺揚げ、エビとのワサビ風味など調理法はバリエーション豊か。ガトーショコラやムースケーキなどスイーツにも利用できる。今シーズンは昨夏の猛暑の影響で日高川町の山の芋はやや不作で、出荷も少なめ。このため、例年より早くシーズンが終わろうとしているが、ウドやタラの芽など春の山菜のシーズン到来を前に、最後に今一度、さまざまな料理で楽しもうと思う。  (昌)