南部高校硬式野球部の井戸大志前監督(62)の勇退謝恩慰労会が3日に紀州南部ロイヤルホテルで開かれた。教え子らのプロ野球選手・元選手らも出席し、約100人のOBが思い出を振り返りながら功績をたたえた。井戸前監督は昭和56年から昨年まで32年間の監督生活を振り返り、「人に恵まれ、人のつながりに支えられた。それが財産」と感謝の言葉を述べた。
 井戸氏は南部高校から東海大学に進み、卒業後は教師に。南部高校には昭和53年に赴任し、コーチ、部長を経て昭和56年8月に監督に就任。以後、昨年夏の大会まで32年間にわたって監督を務め、「イドカン」の愛称で住民や関係者から親しまれた。
 慰労会ではOB会会長の畑崎周定さんがあいさつし、「南部高校は過去に、夏2度、春4度の計6度甲子園に出場している。そのうち井戸監督は4度。たくさんの功績を残していただいた」と述べた。小谷芳正町長は「南部高校は南高梅の生みの親。甲子園出場を通じて、特産の梅を広めてくださった」とし、第3期生の三前洋さん、元阪神タイガースの上田二朗さん、女優の吹石一恵さんの父親で近鉄バファローズで活躍した吹石徳一さんも祝辞した。葛城洋部長から花束が贈られたあと、プロ野球選手では現広島カープバッテリーコーチの植田幸弘さん、元巨人軍の谷浩弥さん、元阪神タイガースの浜中治さん、ヤクルトスワローズの山本哲哉選手が、井戸氏との思い出を振り返りながらメッセージを送った。
 井戸氏は「監督生活は長いようでほんの一瞬だった。道半ばではないが、自分たちの時代は終わったという気持ちもあり、引退を決意した。以前甲子園に出場した時には、マスコミに『みなべ』ではなく『なんぶ』と読まれたことがあり、それが発奮材料となった」と振り返り、「いろんなことがあり、いろんな人との縁も生まれた。素晴らしい選手や先輩に恵まれ、町民の皆さんにも声援を送ってもらった。それが私にとって財産となっている」と感謝の思いを述べた。