和歌山大学と県の研究チーム、和高専が共同で研究開発に取り組んでいる「農業用アシストスーツ」の実証試験が24日、有田川町の県果樹試験場で行われた。今回は初の女性での試験も行い、約20㌔あるコンテナを2箱重ねても軽々持ち上げるなど効果を確認。今後さらに改良を加え、2年後の商品化を目指す。
 農家の高齢化が進む中、作業の負担を減らそうと、和歌山大システム工学部の八木栄一教授を中心に和高専の佐野和男教授らも参加し、農林水産省の補助を受けながら研究している。手袋と靴に取りつけられたセンサーが、物を持ち上げるなどの動作を感知し、内蔵モーターが足腰にかかる負荷を軽減。歩行の補助をするほか約10㌔分の重さをカバーする能力がある。
 これまでも数回試作品を作り、実証試験を実施。農家にミカンの入ったコンテナなどを運んでもらい、一定の効果を確認している。24日の試験では課題の一つであるスーツの重量を軽量化。ことし10月に行った前回の試験の改良モデルは重量6・9㌔だったが6・3㌔まで軽くした。また転倒した場合の安全性を高めるためにカバーを装着し、見た目も改良した。
 試験では20、30代の男性のほか、20代の果樹試験場女性職員も装着。上り坂の歩行やミカンの摘み取り、コンテナの運搬や軽トラックへの積み込みなど一連の動きで検証した。コンテナの積み込みではコンテナ2箱分約40㌔を軽々持ち上げる場面も。女性職員は「荷物を腰まで上げるときにサポートしてくれるので、楽に持ち上げることができました」と話し、スーツそのものの重量については「装着すれば重さは特に感じず、また作業の妨げにもなりません」と話していた。
 八木教授は「今後さらに軽量化を進め、目標は5㌔台。2年後に1台100万円程度で販売したい」と意気込み、「将来的にはアシスト自転車のような存在となって、高齢者や女性が農業に入っていきやすくなれば」と話している。電子制御を担当している和高専の佐野教授は「商品化となれば基本性能に加え安全性など電子制御の分野でも課題が山積みですが、一つずつ解決していきたい」と話している。