県が来年10月に開催する津波災害対応実践訓練に、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが参加することになった。防衛省の打診を受けて県が受け入れる形で、自治体主催の防災訓練にオスプレイが参加するのは全国で初めて。仁坂吉伸知事は20日、安全性について「耐え難いほど危ないものという証拠はない」とし、負傷者搬送や物資の運搬に大いに頼りになるとの考えを示した。
 同日、小野寺五典防衛相が記者会見で、和歌山県の津波災害対応実践訓練に自衛隊と米軍が参加し、米海兵隊のオスプレイを使用する方向で調整していると説明。「大規模災害時の米軍の救援訓練の場としても有意義。和歌山県関係者の理解に感謝申し上げたい」と述べた。
 これを受け、仁坂知事は県庁で「防衛省から、米軍に協力してもらい、オスプレイを(訓練に)投入してもよいかと打診があり、快諾した。航続距離が長く、遠くからも飛んできてくれるうえ、速度が速く積載重量も大きい。災害対策の大きな戦力になる」と述べ、安全性については「一般論として、文明の利器には事故が起こる可能性はあるが、相対的に、オスプレイは耐え難いほど危ないものだという証拠はない。防衛省(米側提供)の資料をみても、他の大型ヘリより重大事故の発生確率は低い」とし、訓練参加の必要性と事故のリスクの低さを強調した。
 オスプレイに関しては昨年3月、日高地方の印南町や日高川町の上空が含まれるとみられる「オレンジルート」での低空飛行訓練が問題となったが、このとき、仁坂知事は「(米軍や国から)飛行ルートの関係先に、事前に何の説明もなく訓練が行われるのは大変遺憾」と不満を表した。これについては「勝手にどこを飛ぶかを決めて説明がない仕組みに不快感があるのは事実」とし、今後も防衛省などに対して説明を求めていくという。