子どもや学生の防災教育・活動を顕彰する「ぼうさい甲子園(1・17防災未来賞)」(兵庫県、毎日新聞社など主催)で、印南町の印南中学校(片山隆校長)の3年生でつくる津波研究班が「津波ぼうさい賞」を受賞した。中学校の受賞は県内で同校のみで、4年連続の入賞となった。
 同校では、平成17年度から3年生の選択科目で津波防災について研究。和高専から提供を受けたコンピューターデータをもとに印南港だけで津波が高くなる原因を調査したり、過去の地震を教訓にした紙芝居などを作製してきた。
 今回のメンバーは堀雅実さん、櫨畑諒乃さん、岡本佳薫さん、古田一真君、湯川誉志君(いずれも3年)の5人。これまでのデータを参考に、「マグニチュード9・0南海トラフ地震の津波第一波はいつどこから浸入してくるか」をテーマに研究。これまで作製した30秒ごとの浸水予測図と印南地区の地図を照らし合わせて調査。その結果、地震発生から22分30秒後に光川と本郷で浸水が始まり、30秒後の23分には地方(あげ)でも浸水。さらに浜西、宇杉などの浸水予測時間や水が引き始める時間も調べた。また浸水が予想されている地域の避難道路の状況を調べるために、生徒たちが実際に現場に行き、道幅やブロック塀の有無を調査したほか、分かりやすくするため生徒がリポーターとして登場する動画も撮影した。最後に「津波が浸入してくるペースは思いのほか速く、水路や溝からも浸入してくることが分かった」などと締めくくった。研究班を代表して堀さんは「現場に出て道幅やブロック塀を調べる作業が大変でしたが、取り組んできたことが評価されてうれしい。研究を通じて自分たちの避難の参考にもなり、また多くの人に結果を知ってもらいたい」と話し、担当の阪本尚生教諭(58)は「少ない人数でよく頑張りました。この結果は地域の避難において有効な情報になると思います」と話している。研究結果は14日の同校文化祭で発表する。
 中学生の部門には32校が応募。印南中は過去3年間奨励賞に選ばれている。