少しずつ気温が低くなり、冬らしい季節になってきた。夏場はシャワーだけで済ませていた入浴も、この時期になると熱い湯船につかりたくなる。たっぷりの熱い湯に肩までつかるのが冬の醍醐味と思っている人も多いと思うが、意外と冬の入浴には危険が多い。
 先日、和歌山生協病院(和歌山市)の古田光明院長から急激な温度の変化で血圧が急上昇・降下する「ヒートショック」についての講演を取材した。中でも冬場の入浴。脱衣所で衣服を脱ぐと血圧が上昇、熱い湯に触れると急激に上昇、浴槽内では水圧によりさらに上昇。その後、体が温まると急激に下降し、風呂から出ると体が冷え今度は急激に上昇する。さらに入浴前に飲酒すると一時的に血圧が下がるので、その後、湯に触れ急激に血圧が上がるので危険という。
 対策としては、温度は40℃くらいに抑え、湯の量も肩までつかるのでなく胸付近までの半身浴にし、湯船につかる時間は5、10分程度、理想の入浴時間は午後4時から7時まで、脱衣所は暖房器具で暖めるなど。健康的な入浴には何かと制限が多く逆にリラックスできなさそうだが、昨年度には7万人が入浴中に倒れており、1万7000人が死亡。季節では冬が一番多いというのであなどれない。
 このような入浴中の死亡などは大半が75歳以上の高齢者で、古田院長の講演も高齢者向けだったが、若い人、特に血圧の高い人などは注意するに越したことはない。脱衣所に置く暖房は電器店で数千円から販売されている。また食事の前に入浴する習慣をつけるなど、できることから対策を立てよう。     (城)