長年にわたり農業における新技術や経営改善などに取り組み、農業技術の普及、研究開発に寄与した人に贈られる「公益社団法人大日本農会(総裁=桂宮宜仁親王)」の平成25年度農事功績表彰「緑白綬有功章」に、印南町島田で古田農園を経営する古田襄治さん(66)が選ばれた。新たな花き「テマリソウ」や宿根カスミソウの安定出荷技術を開発したほか、地元団体の役職を歴任してきたことが評価。22日午前11時から東京都港区で表彰される。
 古田さんは徳島県出身。昭和48年に勤めていた会社を退職し、和歌山県に転居、夏小菊、寒小菊を中心とした花き経営を始めた。49年には県内で初めて宿根カスミソウを導入。独自に栽培方法を研究し、50年に株冷蔵処理、51年に電照処理や二度切り栽培法の実用化に成功。考案した栽培法は地域で自ら指導に回り、日高地方での宿根カスミソウ栽培の根幹を作った。
 60年には全国で宿根カスミソウの栽培面積が増加してきたことから新たな花き導入を模索。アネモネ、ラナンキュラスなどを導入し、平成12年からはナデシコ栽培をはじめた。17年には美女ナデシコから花がつかない変異株を発見。通常なら処分される中、「グリーン素材として有望」と目をつけ、独自に研究。20年には栽培法を確立し、「テマリソウ」として品種登録した。テマリソウは市場から高く評価され、国内だけでなく世界中に広がり、ヨーロッパや南米などでも栽培されている。
 このほか地域の各種団体でも役職を歴任。昭和61年から62年までは印南町花き園芸組合連合会の会長、平成5年から7年まで印南町農業士会の会長、平成12年から20年までは教育委員を務めてきた。受章に際し「このような大きな章をいただき、身に余る光栄です。今後もこの章を励みに、新しい花きを作り出していきたい」と話している。
 本年度の受章は海外含め62人で、県内では古田さんのみとなっている。