平成25年産の梅が豊作だった影響で、農家が塩漬けした1次加工品の梅干し価格が低迷している。前年同期はA級1たる(10㌔入り)が1万1000円程度で取引されていたが、現在は半値以下の5000円程度。22年に一時的に1たる4000円程度で取引されたことがあったが、それに次ぐ安さ。梅農家からは「取り扱う量が増えると経費や労働力も増える。この価格では厳しい」と嘆く声も聞かれる。
 昨年は平年作の3割減といわれる不作だったが、逆にことしは平年の3割増といわれる豊作。前年比では2倍近くの収穫量だったといえる。この影響で青梅の価格も低迷し、JAみなべいなみに出荷された南高梅の平均価格は過去最低の317円(1㌔当たり)となった。夏ごろから出始めた新物の1次加工の梅干しも低調で、サイズによって異なるが、現在の相場は「A級」1たる(10㌔入り)が5000円程度(昨年1万1000円程度)、「B級」が4000円程度(同8500円程度)、「C級」が3000円程度(同6500円程度)、「外」が2000円程度(同5000円程度)、皮が破れた「切れ」が1500円程度(同4000円程度)で、いずれも昨年の半値以下となっている。そのうえ2倍近い収穫量で塩や人件費など必要経費がかさむため、純利益は大幅に減るという。梅農家らは「昨年は不作だったが、高値で取引された。ことしは収穫量が多いが、値段が安い。豊作貧乏になる」と渋い表情だ。
 過去の1次加工品のA級1たる(10㌔入り)の価格を振り返ってみると、平成4年には1万5000円に跳ね上がったこともあった。豊作の年でも、これまでは7000円程度をキープし、全体的には高値で推移していた。しかし3年前には過去最低となる4000円程度を記録、ことしも5000円程度に下落と、近年は低迷傾向にある。