平成16年10月、旧南部町と旧南部川村が合併し、新しくみなべ町が誕生した。早いもので、来年で10周年を迎える。平成の合併では県内でトップ。当初は「面積が広くなるので、住民の声が届きにくくなるのではないか」などと不安視する声も聞かれたが、比較的スムーズに合併が進んだ。同町では来年に記念イベントを行う方針で、庁内に検討委員会を立ち上げ、内容の検討を始めている。
 合併の効果はいろいろと挙げられている。例えば、スケールメリットを生かし、中長期的な視点での効率的な行政運営が行えること。また、庁舎を1つにまとめたり、職員の人数を減らしたりすることで財政面でも効率化が図られる。それに加え、住民同士の交流が活発化することも大きなメリットといえる。
 みなべ町の東吉田地区と清川地区はそれぞれ旧町と旧村に位置する地域だが、東吉田地区の青年団が清川の軽井川地区の獅子舞を習い、鹿島神社の祭礼に祭具として参加させようと取り組んでいる。これも大きな目でみれば合併の効果ではないか。近くても隣の祭りには案外興味がない人が多く、他の地域の住民が参加しにくい雰囲気もある。しかし、その壁を越えて東吉田の青年たちは、去る27日に行われた清川天保神社の秋祭りに参加して交流を図った。今後も参加は続けていく方針だという。住民間に「同じ町に住んでいる」という仲間意識が芽生えているからこそ、こうしたつながりが進んでいくのだろう。
 その地域に伝わる文化を昔と変わらず守り続けることも大切だ。しかし、他地域の文化が混ざり合うことで素晴らしいものが誕生することもある。それは人々の交流も同じ。その環境こそが地域の力となる。 (雄)