日高川町土生、一般財団法人和歌山陸上競技協会副会長の小串親秀(ちかひで)さん(66)が、公益財団法人日本陸上競技連盟から秩父宮章を受章した。小串さんは高校教諭時代に後のオリンピック選手やインターハイ優勝者らを育成したほか、日高男子駅伝部を7年連続全国出場に導くなど高い指導力を発揮。平成17年からは和歌山陸協の役員として協会の運営に尽力し、陸上競技の普及、発展に多大な功績を残している。
 福岡県出身。昭和45年4月から平成20年3月末に箕島高校校長で退職するまでの間、「文武両道」をモットーに日高、同定時制、同中津分校などで高校生アスリートの育成に携わった。日高高校時代は男子駅伝部を昭和47年から7年連続全国出場に導き、ソウル、バルセロナ、アトランタの五輪競歩3大会出場を果たした小坂忠広さんも指導した。53年と56年にはインターハイの円盤投げ優勝者を輩出。定時制で全国大会走り高跳び優勝者、分校でも少ない部員の中、3人の県大会優勝者を育て上げた。教え子には大﨑かなさん(筑波大)ら国体上位入賞者も多数いる。
 現役アスリートの時は円盤投げの選手として活躍。インターハイで決勝にも進出し、日高高校教諭になってから出場した昭和46年の和歌山黒潮国体では3位に入賞した。学生時代に持っていた日本一の夢は教え子が実現させ、忘れられない思い出になっている。
 和歌山陸協では副理事長を経て平成20年、副会長に就任。23年8月の一般財団法人化などに取り組んだ。地元では日高川町体育協会の会長を務め、現在も県教育委員会委嘱の「きのくにエクセレントコーチ」として日高高校生の投てきの競技力向上をサポートしている。
 表彰状は今月、東京都で開かれた第68回国民体育大会の陸上競技会2日目、味の素スタジアムで授与された。11月4日には和歌山市内のホテルで和歌山陸協、日高地方陸上競技協会の有志ら主催の受章祝賀会も開かれる。小串さんは受章に際して「長年、従事してきたことについて評価していただき、大変うれしい。やりたいようにやらせてくれた家内をはじめ家族に感謝の気持ちでいっぱい」と喜びを表し、「2年後の和歌山国体を成功させられるように頑張っていきたい」と意欲をのぞかせている。
 秩父宮章は、日本陸連が功労者や優秀な競技者などを表彰するために制定した10の栄章の一つ。同連盟または加盟団体に功績があった人に授与され、日高地方では31年ぶり2人目の受章となった。