雑誌などで掲載されていた話だが、自分の子どもの名前をつけるのに周囲の人に相談するのはあまりよくないそうだ。子どもが生まれるというのは両親にとっては最高の喜びであり、その子を表す「名前」を考える時には一番力が入るところ。自分の両親やきょうだい、親戚などにもアドバイスをもらって命名したいと思うのも無理はないが、実際に「こういう名前にしよう」と決めているのを周囲の人に話してしまうと、あーでもない、こーでもない、本当にそれでいいのかなんて次から次へと待ったがかかり、スムーズにいかなくなるらしい。両親にしてみれば自分から相談を持ちかけておいて、とやかく言われて少しでも気を悪くするのなら何のメリットもなかったということになりかねない。普段の会話にありがちな些細な行き違いなども「別に言わなくてもいいことを口にしないでおく」ためのちょっとした知識があれば回避できるものだと改めて知った。
 「別に言わなくていい、余計な...」というのは世の中にあふれ返っている。女性に対して「きょうは、綺麗ですね」なんていうと、「いままでは綺麗と思ってなかったの」なんてことになりかねない。「きょうは」はつけなくていい余計な一言だ。会社の上司と部下、スポーツの指導者と教え子、教師と生徒など社会には無数の人間関係がある。余計な一言が良好な関係を一気に壊してしまう恐れがあり、気をつけなければならないと思う。
 実際、「言わなくていいこと、余計なこと」の選別は難しい。失敗しないためには知識とともに、とにかく相手の気持ちになって、相手を思いやって対応するということだけは忘れないようにしなければならない。   (賀)