先日、和歌山工業高等専門学校などが開いている次世代テクノサロンを取材した。この日の講師は京都大学防災研究所の畑山満則准教授で、テーマは「災害時における情報システムの活用」。畑山准教授は、東日本大震災などで役に立った情報システムを紹介したが、中でも大手検索サイトGoogle(グーグル)が提供しているGoogle person finder(グーグル パーソン ファインダー)が印象的だった。
 このシステムはグーグルのパーソンファインダーのサイトに行き、探したい人の名前を入力すればどの避難所にいるかがわかる。もちろん検索にヒットさせるためには事前にデータを入力する必要がある。システム自体は効果的で、避難所から大量に避難者の名前が書かれた張り紙を撮影した画像が送られてきたが、データ入力が間に合わなかった。そこで立ち上がったのがネット上のボランティア。画像を1枚1枚見ながら名前を入力していくことでバックアップし、システムを成立させた。
 畑山准教授の提案にもあったが、このパーソンファインダーの日高地方版を作ってみてはどうか。広い地域でないにしろ津波発生時は道路ががれきで埋もれ、下手に動けばケガの恐れもあり、隣町でも移動が困難。復旧するまでは避難した場所にとどまる必要があるだろう。実施にはサイトを立ち上げ、有事の際には避難者が携帯電話やスマートフォンでアクセスしデータを登録できるシステムを構築する。もっとも大切なことは多くの人に周知させることだが、そのためにもいち早く各自治体や団体が連携し、検討してみてはどうだろうか。 (城)