みなべ町でイワシ漁が最盛期を迎えているが、価格が低迷している。コンテナ1杯分(25~30㌔)のウルメイワシは1000円前後で、昨年の底値だった約3000円の3分の1程度。加工業者らは「イワシの代表的な加工品である目刺しを消費者が食べなくなっているのが要因ではないか」と話している。漁師らも「これだけ安いと死活問題だ」と表情は暗い。
 ことし5月ごろの価格はコンテナ1杯で6000円~7000円程度。時には1万円を超えることもあったが、その後、下降傾向が続いている。数日前から水揚げ量が増えた影響もあり、一層の値崩れを引き起こして暴落。競りではコンテナ1杯で1000円を切る場面も見られている。漁業関係者らによると、「2~3万円の高値を付けていた4、5年前と比べると、20分の1以下に下落していることになる」という。競り落とされたイワシの大半が目刺しや煮干しに加工され、京阪神の市場などに出荷されるが、「目刺しなどは消費が低迷しており、あまり売れない。供給過剰状態となっているのが価格低迷の要因だろう」という声もある。漁師らは「燃料など出漁の経費は以前よりも上がっているのに、イワシの単価が大きく低下している。こんな状態だと、イワシ漁が成り立たない」と嘆いている。同町のイワシ漁獲量は年間約5000㌧で、県内ではトップクラス。町の魚にも指定されている。特に、毎年5月ごろからは海面を照らしイワシを集めて網ですくい上げる伝統漁法の漁火(いさりび)漁が行われ、夏の風物詩にもなっている。