今春のセンバツ高校野球大会期間中、阪神甲子園球場へ出かけた。当日はあいにくの雨だったが、お目当ての大阪桐蔭の試合などを内野席で楽しんだ。「天気も悪いし、テレビの方がいいのでは?」という人もいるだろうが、スポーツはやはり「現場で、生で」に限る。テレビ画面では伝わらない打者のオーラなども感じ取れるような気がし、実際この時も「このバッター、ホームラン打ちそう」と〝予言〟して、ずばり的中させた。こんなことがあるのも気持ちがいいので、野球観戦は現場へよく行く。
 地元勢が大活躍中の第95回全国高校野球選手権記念和歌山大会。準々決勝の南部―和歌山工では、南部ベンチから「初球に甘い球がくるから狙っていけ」と、しきりに指示が飛んでいた。それが実ったのが8回の4得点。先頭から6番目の打者まで全員が初球打ち。1死から4連打があって、あっという間の逆転劇となった。あとアウト5つで夏が終わる。そんな追い込まれた場面ではじっくりと好機を広げたいところで、テレビ観戦だったら「なぜ初球打ち?」と不思議に思っただろう。積極的な攻撃の理由を事前に知ることができたりするのも球場にいるからこそである。
 前出の話は記者席にいてのことだが、スタンドからでも打者や場面によって守備位置が変わったり、投球練習、素振りをする選手、ベンチの様子などもうかがえ、テレビとはまた違った楽しみ方ができる。打者と投手の対決をアップで見られるテレビ観戦ももちろん楽しい。でも、26日からの和歌山大会4強の激突。地元勢が勝ち残っているこの機会に、ぜひ紀三井寺球場へ行って応援しながら野球の魅力を存分に感じてみてほしい。   (賀)