日高町方杭、町営温泉館「海の里 みちしおの湯」内に去る13日、スキューバダイビング事業を展開する「日高ダイビングセンター」がオープンした。和歌山市の専門業者が経営。温泉館1階研修室を事務所として貸し出すことで町には年間42万円ほどの使用料が入り、ダイビング客には温泉館を利用してもらうようにするなどの協力も取り付けているという。地元漁業者はダイビング客をボートで運んで収入を得られ、地元区には協力金も入る。5年目には年間3000人以上の利用者予想が立てられており、順調にいけば地域活性化に一役も二役も買ってくれそうだ。
 温泉館は観光振興の拠点としても期待を集めていたが、当初10万人を超えていた入館者数は右肩下がりで現在は半分程度にまで落ち込んでいる。しかも施設は町の中心部から外れた場所に位置し、多くの人が訪れても波及効果を感じる町民が少ないというのも大きな課題だった。ダイビング事業のスタートで、それが少しは解消されることだろう。
 観光資源は、ただあるだけでは娯楽にあふれた現代社会で人を呼び込めない。町の特色と新しいアイデアの融合で、どう生かすかが地域振興の鍵を握る。同じダイビング事業では、太地町が湾を網などで囲み、クジラやイルカと一緒に泳げるようにする取り組みもスタートさせたと報道があった。サンゴなどが少ない分、クジラの町らしい試みでカバーするという。日高町の場合、まずは温泉とダイビングの売り出しが始まったが、まだまだ眠ったままの観光資源は多い。温泉とダイビング、クジラとダイビングなどの事例を参考に、積極的に町おこしへ取り組んでいってもらいたい。      (賀)