最近は「できちゃった婚」とか言って、妊娠をきっかけに籍を入れる結婚が社会的に容認されている。以前なら奥さんになる人の父親にこっぴどくお叱りを受け、めでたい話も吹き飛んでしまうケースがあっただろう。目まぐるしく社会が移り変わる近年では案外ないがしろにされているが、物事には順序があり、それはやはり大切。間違うと大やけどしてしまうことが多々存在すると理解しておかなければならない。
 某大手ファーストフード店。一時期、安売りの弊害で業績が落ち込んだ。会社を立て直そうとした時に特に何を優先するかの〝順序〟を大事にしたというのは有名なエピソードだ。まず作り置きを止めるなど品質、サービス向上に取り組み、常連客を確保。その上で、サービスに見合った価格に値上げ、新商品発売などで新たな顧客層の開拓も成功させ、見事V字回復を果たした。以前と同じサービスで値上げしていれば大失敗になったと予想され、この順序は多くの経営者のお手本になっているという。
 身の回りでも〝順序〟が事をスムーズに運べるかの鍵を握る。飲み会を開くにも「あいつよりあとで誘われて気分がよくない」といった些細な話がある。仕事ではどの上司に先に報告するか、何から手をつけるかなどの順序がポイントになり、トップに直接、逆に直属の上司から一段階ずつ、成功にはケースバイケースでいろいろあって実におもしろい。
 いま政治で注目なのは消費増税までの〝順序〟。一部都市部の好景気に惑わされ、増税に踏み切るようでは絶好調の与党でも国民の批判に耐えられないだろう。どの順序になるか、参院選も絡んでくるので今後の動きから目が離せない。 (賀)