梅の収穫が本番を迎え、本場のJAみなべいなみ管内では連日箱詰めされた南高梅が選果場に運び込まれている。ことしは昨年に比べて豊作傾向だが、価格は出始めから低調。昨年は、南高梅のシーズン平均価格は1㌔当たり544円だったが、この調子だと昨年の平均価格を下回りそうだ▼物の値段は需要と供給のバランスで決まる。出荷量が増えれば、価格は下がる。逆に出荷量が少なければ、価格が上がる。出荷量と価格は反比例の関係にあるのだから、ある意味ことしの値段はしょうがない面はあるといえる。しかし10数年前と比べると半値程度。生産量はそれほど変化していないため、需要が減っているのだろう▼「梅バブル」といわれた時代もあり、当時は「青いダイヤ」とまでもてはやされた。10㌔入りの青梅の箱が1万円程度で取引された。それ自体が「高すぎて異常だった」という見方もあるが、それだけ梅が必要とされた。しかし、近年では若者が梅を漬ける機会が少なくなってきたことなどが価格低迷の要因だろう▼だから、行政などでは消費の拡大に力を入れる。医学的な効能研究などの取り組みもその1つだ。これまでの成果としては熱中症をはじめインフルエンザや糖尿病などの予防効果があることが医学的に裏付けされている。今後はより効果的に梅の機能性を広めることが重要になる▼日高地方の産地にとって生産技術が確立していることはもちろん強みだが、安値が続けば梅の栽培面積を維持することはできない。日本一の産地に必要なのは品質の良さに加え、圧倒的な生産量。その要件を満たすためには、消費者を引き付け、需要を拡大することが欠かせない。 (雄)