みなべ町の晩稲と熊岡地区にまたがる山の斜面で以前から地すべりが発生していることを受け、 県は本年度にボーリング調査を実施する。 順調に進めば、 来年度から本格的な対策工事に着手。 完了するまでは10年程度かかるという。 現在は、 異変を感知する 「伸縮計」 2基を設置して周辺住民に危険を知らせるようにしている。
 地すべりの発生現場は、 愛宕神社近くの小高い山の周辺。 約18㌶が国の地すべり防止区域の対象で、 主に梅畑。 地元住民らの話では、 植えられている梅の木が数㍍移動したりコンクリート舗装の道路に亀裂が入っているほか、 最大で1㍍の段差ができた個所もある。 平成23年9月の台風12号による大雨では一日で30㌢ほどのズレも確認されており、 対策を望む声が上がっていた。 町では異変を素早く察知するため、 昨年3月に 「伸縮計」 を設置。 大きな異変があった場合は赤色灯が回転してふもとに住む約20軒に危険を知らせるほか、 携帯電話にメールを自動送信するように対応している。 伸縮計は2基あり、 設置から約1年で1~3㌢程度の地表面の移動が観測されている。
 対策工事は県が主体となって実施し、 本年度に本格的な調査を行う。 現在はボーリングを効果的に行うため地表面を調査している段階で、 ボーリング調査は梅収穫後から夏場までの期間に行う方針。 地すべりは地中に浸透した水との関係が大きいため、 梅雨から台風時期までの雨の多い時期には降雨と地すべりの関係も観測する。 抜本的な対策は26年以降に取りかかり、 地中の水を抜いたり地表の排水溝などを整備して浸透水を減らす。