先日、印南町の民泊グループ「いなみかえるの宿」 (庄田登紀美会長) の研修会を取材し、 講師のトップツアー㈱旅行営業本部の山田徹さんから修学旅行の受け入れで聴いた。 印象的だったのが、 民泊などの交流型体験プログラムが求められている背景。 フリーターやニートなど定職に就けない若者の増加や自殺者の増加、 いじめ、 親の虐待などが社会的な問題となっているが、 その原因の一つとして、 受験競争の弊害、 地域コミュニティの崩壊などによる子どものコミュニケーション能力の低下が挙げられる。 そんな中、 交流型体験プログラムを通じた人と人との触れ合いを求める動きが強まっているという。
 民泊といえば人口減少、少子高齢化が進む地方で、都市部の人や子どもたちに田舎の魅力をPRするとともに遊休農地の活用など、地域活性化に向けた取り組みが中心と考えがちだったが、意外にも民泊に来る子どもたちに与える影響の方が大きいのかもしれない。 山田さんの話によると、 民泊先の受け入れ家族がわが子のように接したり、 近所のおじさんにあいさつされたり、 自分で収穫した野菜で本当の味を知ったとき、 子どもたちは感動を覚える。 民泊のあと、 家族で受け入れ家庭を訪問する子もいるくらいだという。
 民泊は将来を担う子どもたちが自然や人と触れ合う中で、 生きる力を身につける大切なきっかけとなる。 いなみかえるの宿ではことしも修学旅行生の受け入れを予定している。 印南町の海、 山、 川でのさまざまな体験を通じて自然を満喫する姿はもちろん、 人との触れ合いによる心情の変化などに重点を置いた取材を心がけたい。  (城)