自然界に光るキノコがあるのをご存知だろうか。先日、NHKのサイエンスZEROという番組を見て筆者は初めて知ったが、いくつものキノコが暗闇に金色のように輝く様子は、とても神秘的だった。
 キノコに限らず、光る動植物はほかにもある。有名なところはゲンジボタルで、あとはチョウチンアンコウやウミホタル、ヒカリキンメダイなど。また、2008年にノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が研究していたオワンクラゲもそう。緑色蛍光タンパク質(GFP)という物質が光るらしいが、この物質を使ってがん細胞の増殖過程が分かるようになったなど、医学分野にも応用されている。
 話を光るキノコに戻すと、ヤコウタケ、ツキヨタケ、エナシラッタケなど50種から60種が発見されている。中でもヤコウタケはまぶしいぐらいの光で、暗闇の中でも十分に本が読めるほど。ところが、キノコが光るメカニズムはまだ解明されておらず、研究段階。あの下村氏も次のターゲットをキノコに移して研究しており、今後いろんな面での応用が注目されている。
 そんな中、ど素人考えで申し訳ないが、光るキノコが夜間のエコで環境にやさしい明かりとして活用できないだろうかと、ふと思った。例えば山林などの高台に続く津波避難ルート沿いで光るキノコを栽培すれば、誘導灯の変わりになるかもしれない。キノコが生えない時期などさまざまな問題が出てくるだろうが、今後の研究でクリアされることに期待である。ところで、実は人も特殊なカメラで見ると超微量な光を発しているらしい。その光の強さをコントロールできるとすれば、これほど便利なことはない...そんな夢物語で締めくくりたい。  (吉)