地方の選挙となると、町づくりに対する働きぶりや期待度だけが得票数に比例しない場合がある。そこには地縁、血縁、支援者との関わりなど複雑な要素が加わってくるからだ。極端な例を言ってしまえば、候補者の情報はほとんどなくても、親しい友人や知人から頼まれて1票を投じるという有権者も存在するだろう。
 しかし、一般的な話をすると、現職の場合は経験や過去の実績が評価される。逆に新人は今後の仕事ぶりを予想する期待度が投票の判断材料となるだろう。そういう意味から考えると、現職議員が前回の得票を下回るということは任期中の仕事ぶりが「物足りなかった」という評価を受けたと言えるかもしれない。
 みなべ町議員選挙が去る30日に投開票された。定数14に対して現職9人、新人6人が立候補した。結果をみれば、新人が全員当選する活躍で、得票数もトップ、2位と新人が上位を占めた。有権者の期待度が得票に表れたことになる。一方、現職は9人中7人までが自身の4年前の得票を下回った。一概に論ずることはできないが、今回の選挙では現職の任期中の働きぶりに対して有権者の評価が低かったといえるかもしれない。
 議員選挙は4年ごとに執行される。今回当選した14氏については次回に行われる平成28年の選挙では現職の候補者。次の選挙では「現職の経験や実績が新人への期待を上回った」と有権者が判断するような働きぶりに期待したい。5日間の短期決戦は終わったが、議員の仕事である町づくりについてはスタートラインに立ったばかり。これからが本当の意味での戦いである。     (雄)