市内塩屋町森岡地区産業廃棄物最終処分場建設計画にかかる県技術アドバイザー会議が14日に和歌山市内の県書道資料館で開かれ、 同計画について 「おおむね妥当」 との判断が出された。 大学教授ら専門家から計画に事実上のゴーサインが出された格好。 ただ、 計画業者に対して地元住民の不安解消に十分配慮することを求める指摘もあった。 これを受けて県が今秋中にも建設許認可の最終結論を出すと見られる。
 アドバイザー会議は大阪府立大学の中原武利名誉教授を委員長に大学教授、講師の4人で組織。県が森岡産廃最終処分場の建設に対して許認可を出すかどうかの審査の一環で、ことし1月にも会議を開いて2回目となった。今回はことし6月に計画の縦覧を行った際に、関係する御坊市と印南町、地元利害関係人から寄せられた要望、指摘、疑問、不安などについて、事業主体の大栄環境㈱(本社=大阪)が対応策を説明。アドバイザー会議の委員が質問する形式で進められた。
 その中で特に委員から質問が集中した処分場の遮水シートについて大栄環境側は「90年以上の耐久性を確認。60度から80度の温度にも耐えられる。大地震についても直下型とプレート型の解析で算出し、変形や破損の問題はない」と回答。遮水シートの漏水検知システムについても「メーカーの信頼性が高い」とした上で、「万が一、漏水を確認した場合は処分場を掘り起こして補修する」と述べた。さらに、予定している産業廃棄物の品目以外が持ち込まれる恐れについて「産廃排出業者と契約する前の現物、資料確認はもちろん、搬入時の展開検査で再チェックして混入のないことを確認する」とした上で、「排出業者への講習会も開き、分別意識の徹底を図る努力もしている」と付け加えた。事故などの対応については「地元区及び御坊市と環境保全協定書を締結する予定で、不測の事態への対応を取り決めたい。処分場廃止後に万が一、何か事故があって土地所有者が管理責任を問われる事態となった場合でも、弊社が責任を持って対処する」とした。
 こういった大栄環境の説明に対して委員は「詳細な部分まで検討されているのがよく分かる」などと評価し、計画に対する異論はなかった。ただ、「大栄環境にとっては実績を積んでいるかもしれないが、地元住民にとっては初めてのこと。住民が不安、疑問を感じたことについては、速やかに、真摯(しんし)に受け止めて対応するよう徹底してほしい」と求めた。会議を終えて中原委員長は「私たちがゴーサインを出すような立場ではないが、計画はおおむね妥当といえる」と話していた。
 今回のアドバイザー会議が、県の建設許認可審査の最後の手続きで、いよいよ県の結論が出されることになる。時期について循環型社会推進課は「未定」としているが、残された県の作業はアドバイザー会議の議事録をまとめるだけで、今秋中には結論が出そうだ。