連日、熱い真剣勝負が繰り広げられているロンドン五輪。日本選手のメダルの色、数だけ見れば少し寂しさも感じるが、全身全霊をかけて戦うアスリートの姿は本当に美しくまぶしい。中でも金メダルを獲得した体操の内村航平選手、柔道の松本薫選手といいたいところだが、個人的には卓球の石川佳純選手がひときわ美しかった。惜しくもメダルを逃したが、息をのむラリー、テレビを通じてでも伝わってくる現場の張りつめた緊張感、集中力は、真剣勝負ならでは。メダルを獲れずに負けたとしても、見ている人をすがすがしい気持ちにさせてくれる、それがスポーツの本来あるべき姿だろう。
 そんな4年に1度の真剣勝負の大舞台で、無気力試合が行われたことに衝撃を受けた。バドミントン女子ダブルス1次予選で真剣勝負とはほど遠い試合をしていた外国選手8人は、当然のことながら失格となった。勝ってなんぼ、負ければ日の目は当たらない、そんな世間の風潮にも反省点はあろうが、ファンや観客あってのオリンピック。マイナースポーツをメジャーにする最大のチャンスの場であり、何より多くの子どもたちの見本になる舞台でもある。そこでやる気のない姿を見せるのは言語道断。金メダルを取ったとしても、そのスポーツが発展するとは思えない。
 我らがなでしこジャパンも予選第3戦で指揮官から引き分け狙いの指示があったことが物議をかもしている。無気力とは思わないが、ファンの一人としては、スカッとしたわけではないのも確か。だが決勝トーナメントでは戦術通り見事ブラジルに勝ち、次はフランス戦。オリンピックが子どもに夢を与え、スポーツの魅力を発信する場であってほしいと願っている。 (片)