梅やモモなどに被害を与えるウメ輪紋ウイルス(プラムボックスウイルス)に感染した苗木が県内に流通した可能性があるとし、県は生産者らに情報の提供を呼びかけている。同ウイルスには有効な防除薬が見つかっておらず、感染すると果実に黒い斑点が出るなど商品価値が低下する。県では「県内ではいまのところ発見されていないが、広がれば深刻な被害が出る」と懸念している。
 国内では平成21年に初めて東京都青梅市で発見され、昨年までに全国の7都府県(東京、茨城、神奈川、埼玉、滋賀、大阪、奈良)で2万3868本を確認。最も深刻な被害を受けている東京都青梅市では21年~23年までに1万7353本が見つかり、「現在も衰える気配はない。深刻な問題になっている」という。いまのところ県内での確認例はないが、近くでは大阪や奈良でも発見されている。感染した梅は一般的に樹勢が低下するほか、果実に黒い点が付いたり黒ずんだりするため商品価値が低下する。穂木を接ぎ木してつくった苗木などが流通して広まったとみられ、自然界ではアブラムシが媒体になるという。感染樹は果樹園だけでなく、公園や寺院、住宅の庭木などでも確認されているが、有効な対策は見つかっておらず、感染樹を伐採する以外ないという。人体に影響はない。
 ことし7月、兵庫県伊丹市で梅などの苗木の生産地から感染した苗が確認され、感染の恐れがある梅の苗木が出荷されたことが判明した。県は「葉に黄色の薄い部分ができたり、ドーナツ状の輪ができる症状を見つけた場合は連絡してほしい」と情報提供を呼びかけている。連絡先は県農林水産部農業生産局果樹園芸課農業環境・鳥獣害対策室℡073―441―2905、県農産物病害虫防除所みなべ駐在℡07393780へ。県農作物病害虫防除所紀の川駐在℡07362274。