「最後まであきらめない、 全力プレーで盛り上げてもらいたい」 と書いたのが前回の当欄。 2回戦の日高―和高専の地元対決はまさにその通りの試合となり、 炎天下の紀三井寺でゲームセットの瞬間まで手に汗を握った。
 4回を終わって6―0で日高がリード。 コールドゲームも頭をよぎる展開だが、 和高専ナインはあきらめなかった。 5回と6回に1点ずつ得点。 6回裏にすぐ突き放され、 再び5点を追いかけなければならなくなったが、 8回に怒とうの反撃を見せ、 試合の行方を分からなくした。 無死から代打の選手が痛烈に中前へはじき返して流れを変えると、死球と内野安打で好機を広げ、 適時打などでまず3点。さらに敵失もあって1点差まで迫った。2点差に詰め寄る適時打が出た時点で完全に勢いに乗り、 日高の守備陣を浮き足立たせた。 あきらめずに必死のプレーを続ければ勝機が巡ってくる。 それを証明した場面だった。最終回2死三塁から同点の一打はなかったが、その健闘ぶりには大きな拍手を送りたい。
 以前、 子育て講演会でこんな話を聴いたことがある。 「子どもは一晩中歩けといわれれば、 その多くが最後まで歩きとおす。 だが、 大人はリタイアする人が多い。 なぜならば、 子どものころは素直で命令されたことを忠実に実行しようとする。 大人は子どもよりもはるかに体力があっても、 頭で考え、 あきらめてしまう」。 つまり、「あきらめ」というのが頭に浮かぶと、 できることでもできなくなってしまう。 「あきらめない」 のは本当に大事ということだ。
 技術的なことでも体力的なことでもない。 野球だけでもない。心底に持っていると、 人生も強く生きていけると思う。  (賀)