市内森岡地区産業廃棄物処分場建設計画で県は13日、一般市民からの意見書提出を締め切り、234人分(郵送除く)を受け付けた。これで県の審査はいよいよ最終段階に入るが、担当課は「法律上問題なければ不許可にはできない」としており、付近住民の反対や不安が拡大するなかも、すでに専門家らが精査した計画は「建設許可やむなし」の判断が下される公算が高まっている。
 県への意見書は、去る3日に中止を求める塩屋の会、12日に野口小学校PTAがそれぞれ取りまとめた分を提出。受付締め切りの13日には塩屋の会が再び提出した。このほかも個々に出したり、メールもある。13日の消印有効で郵送はまだ受け付けており、さらに増える可能性もある。
 大半の意見書は「建設予定地の下流域には有害物質が流れ込む危険性があり、人体や農作物への影響が心配。施設誘致が森岡区のみでなされたことが納得いかない」「近くに学校給食センターがあり、子どもへの健康被害が心配」などと、反対や不安を訴える内容となっている。また、県の建設許可審査に際しては、市と印南町が計画を容認する意見具申を行い、市議会が事実上反対の意見書を提出したという経緯もある。
 県はすでに専門家のアドバイザー会議を開くなどして計画内容を精査。今回の一般市民からの意見書を見ながら、最終的に許可を出すのかどうかの判断を下す。ただ、循環型社会推進課は「反対の意見内容を見て生活環境への不安が妥当なものであるかを見ていきたい。しかし、反対意見があっても法律上問題なければ許可せざるを得ない」とし、「最終的な判断は知事ということになるが、たとえ政治的判断でも不許可にすることは難しいのではないか」と漏らしている。許可の判断時期については「全く未定」としている。
 こういった動きに対して森岡地区の地権者の1人は、「悪い施設を持ってくるような気は毛頭ない。もし地元で大災害でもあったときのがれきの受け入れにも一役買えるのではないか」などとしており、いまのところ区としても計画同意撤回の考えはない。また、計画業者の大栄環境㈱(本社=大阪)も「施設の技術指針について県の指導をあおいで修正して解決してきた」などと、許可に一定の手応えをみせており、「許可が出れば予定通り建設を進めさせてもらう」と話している。