先日、日高川町三百瀬小学校で相撲大会が開かれた。この時期恒例の行事で毎年取材に足を運ぶ。ちびっ子力士36人がトーナメントと3人抜きで熱戦を展開し、厳しい立ち合いから寄り、押し、投げ。勝利を目指して力と技をぶつけ合うちびっ子力士のりりしい姿に見入り、レンズ越しに思わず声援。ことしも充実した午後のひとときとなった。
 筆者は大相撲が好きで、横綱千代の富士の時代から若貴兄弟のころまではよく観戦していた。いまはさておき、当時は大相撲が人気で、大阪梅田のビッグマンでは、千秋楽近くの後半の取組ともなると、一番一番にそこにいる多くの人がスクリーンにくぎ付け。それほどみんな相撲に関心も興味もあった。そもそも昔は三百瀬小のように学校や神社の土俵で、友達や地域の大人と取ったりするなど相撲にふれる機会が多かった。
 相撲は神事としての性格があり、子孫繁栄、五穀豊穣など願って現在でも神社で行われているところは多い。神々に敬意と感謝を表すことから礼儀作法が重んじられる。日高川町では現在も盛んな地域があり、下阿田木神社では明治の大水害からの復興祈願をきっかけに秋祭りで奉納相撲が行われている。三百瀬小の児童が氏子の紀道神社でも数年前までされていた。三百瀬小の相撲大会を見ていると、子どもたちは礼儀を重んじながらガチンコで勝負し、勝った喜び、負けた悔しさを身をもって体感。土俵際で投げられ泣いてしまう子もいれば、闘志あふれる対戦相手に怖さを感じ、逃げ出したい気持ちの子もいただろう。そんなことを跳ね返して立ち向かう勇気。本当にいい取り組みであるとともに、地域の伝統文化の継承のためにも末永く続いていくことを願う。   (昌)