田植えシーズンを迎え、 降水量が少ないことから日高川流域や沿岸地域で農業用の水不足が深刻化し、 15日から日割りによる緊急通水をスタートした。 日高川の若野堰から取水する日高川、 美浜町、 日高町の3土地改良区が管理する用水路。 20日まで6日間、 6グループに分けて順番に通水する。 3土地改良区では協力と理解を呼びかけるとともに、 恵みの雨が待たれている。
 日割りによる緊急通水は、 水を有効に利用するため、 14日に3土地改良区で開いた緊急渇水対策委員会で決定した。 15日は六郷水系の大分木・重力水系で通水されたが、 それ以外の水系は通水がストップした。 今後の通水日は16日が上川・出島・野口・宮田水系、 17日は富安地区を含む丸山水系、 18日は鉢巻水系、 19日は上川・出島・野口・宮田水系、 20日は財部川水系。 今後の降水量しだいで緊急通水は解除する。 梅雨前線の影響で16日にはまとまった雨が予想されており、 以後来週いっぱい雨模様だが、 いまのところ楽観視できない状況となっている。
 若野堰で取水する農業用水を利用しているのは御坊市の右岸 (左岸の野口を含む)、 日高川町の日高川下流域、 美浜・日高町の一部のエリアの田んぼ780㌶。 若野堰から若野幹線水路を通って各用水路や野口サイフォンを通って農業用水が田に供給されている。 若野幹線水路の取水量は、 田植え時の荒引 (あらびき) 水で毎秒6・80㌧、 田植え後の養い水で毎秒6・48㌧が必要。 上流の椿山ダムの放流量は通常毎秒7㌧でその取水量を確保できるというが、14日にはダムの放流量は毎秒4・08㌧、 若野水路取水量は毎秒3・36㌧まで落ち込んでおり、 荒引水で49%、 養い水で51%しか確保できない危機的状況を迎えた。
 御坊地内で4月は降雨量15㍉以上が3日、 5月は14㍉が1日だけと、 4月以降は御坊平野をはじめ日高川流域や椿山ダム上流の田辺市龍神村などでも雨が少なく、 ダムの貯水位・放流量が低下。 6月に入ってもまとまった雨が少なく、 今月7日には貯水位が184・22㍍と最低水位の184㍍まで迫り、 ダムの放流量も7日には毎秒5・4㌧まで低下。 若野水路の取水量も毎秒4・5㌧まで下がったことを受け、 8日には3土地改良区で緊急渇水対策委員会を立ち上げ、 各農家に節水と用水路に常堰 (せき) しないよう協力を呼びかけていた。 12日の降雨も少し余裕ができた程度。 21年にも水不足で緊急通水を行ったが、 通水日は隔日で、 こんな対策を必要とするほどの渇水は珍しい。